2020年5月14日木曜日

新型コロナウイルス感染症と子どもと教育に関する三鷹市への要望(第2次)と結果

非常事態宣言の中で学校休校が続き、東京の各地では、子どもの学習保障について学校HPで学習課題の提示・動画配信・相談日・分散登校日の設定など様々な対応がされています。三鷹市では、分散登校日を柱にしていますが、さらなる回数増の計画があり学校現場などから多くの問題点が指摘されていました。こうした声を受けて三鷹市民連絡会に参加する3団体が、市長に下記のような要請を行いました。三鷹市は、要請後、その主旨に沿った対応をされ、学校現場から「現場の声を受けとめた対応に変わってよかった」という声が多数寄せられています。では、どんな問題が起きていたのか、要請文をお読みください。

 新型コロナウイルス感染症と子どもと教育に関する三鷹市への要望(第2次)

三鷹市長 河村 孝 様 2020年5月14日

 三鷹市における、この問題に対する市長を先頭にしたこれまでの対応に敬意を表します。

4月当初に市長宛の要請書を提出し、直接お会いして市民の声を聞く機会を持っていただきありがとうございます。その際、「子どもの安全・健康を守るために、子ども自身・保護者からの相談窓口の設置を検討してください」との要望項目については、その後、市としての相談窓口がつくられ、学校を通して保護者に知らせていただき感謝いたします。

「三鷹市全体で、今こそワンチームとなってこの苦難を乗り越えていきましょう。」という市長の力強い訴えのもと、新型コロナウイルス感染 三鷹市緊急対応方針(第2弾)が発表され、市民の期待が高まっています。

ところが、この方針の中でただ一つ教育分野の方針に対して、この数日、保護者、また市内の先生方から、新型コロナウイルス感染症対策三鷹市民連絡会に実情を訴え改善を求めるメールがたくさん届いています。中には方針から外れるような実情も記されています。何よりも子どもの安全を第一にした対応を市民として求めるために、寄せられたその内容をお伝えし、市長の指導力を発揮して第2弾の方針を生かした対応がされるように次の事項について要請します。

学校休校中の分散登校の回数については、東京都内の他の自治体の動向にも注視し、子どもと教職員の安全・健康を第一に考え、再検討すること。少なくとも今以上の回数増をしないこと。

 【要請理由】

「新型コロナウイルス感染症 三鷹市緊急対応方針(第2弾)」の中での、「小中学校の児童・生徒の学習支援等に向けて」の項目の中では、次の様に書かれています。

「小中学校の分散登校及び教員による個別面談の実施 【指導課】

臨時休校期間が長期化している状況を踏まえ、感染拡大防止に最大限留意しながら、各学校において、学年・時間別等、少人数で分散登校日を設定し、学習計画に基づく家庭学習の状況や健康状況の確認等を行います(1教室10人程度で実施。当面、12時間以内、週2回程度を予定)。また、希望する児童・生徒について、電話・メール等で事前に予定を調整の上、教員による個別の面談を実施し、学習に関する質問への対応や心のケアを行います。」

 子どもたちは友だちに会えるのを楽しみにしていますが、分散登校が始まったばかりでも、保護者の方からは、次の様な心配する声も届いています。こうした保護者の方のご意見は、市役所にも届いていると思います。

□子どもは、マスクしながら運動でひどく暑かったようです。運動は絶対ですか?心配です。

□(都内で医療関係で働いている保護者)三鷹の考えていることがわからない。医療現場のことを考えて感染を防いでほしい。でも、まわりが登校させるのに、うちだけ行かせないわけにいかない。東京都全体がまだ自粛しているので、週2回はやりすぎでは。もし感染が起きた学校には市はどういう対応をするのでしょうか。

ところが、ここ数日、市内の学校現場から様々な声が届いています。学校の中の様子は、わたしたち市民には分からないので、驚いています。ぜひ市長さんにもこうした声をお伝えしたいと思います。

今週は、市の方針にあるように週2回の分散登校となっていますが、来週は週3回登校、その次の週は週4回登校の準備をされ、しかも学級を2つに分けるような検討がされているので、これは、「1教室10人程度で実施」という市長の方針から外れるのではないでしょうか。中学校では、40人学級定数のため、今後クラスを半分にしても約20人近い生徒が同じ教室に入ると三密になってしまい心配です。次の様な声も届いています。

■「今日の分散登校の際にも、運動の時間にボールを共用して、肩を組んでいる生徒がいました。いろいろやらせたいのは分かりますが、感染対策は徹底できていません。なぜ三鷹だけこのようなスタートなのか知りたいところです。職員の中には妊婦さんが複数いますし、生徒同様、職員の安全、健康の維持が難しいと感じました。」

マスク着用での学校内での生活についての心配の声も届いています。

■「マスクをしながら ずっとしゃべり続けなければならない。じつは これが心肺に負担が相当かかることが職員室で話題に上がりました。ウィルス対応マスクの中で軽い酸欠状態(汚れた空気?)になっているのですね。わたしは、午後、息苦しくて頭痛がしました。赤ちゃんとご自分の新鮮な酸素を必要とする妊婦さんは、絶対やっちゃだめだと思いました。まだ暑さに慣れない中、子どもともども感染対策しながらの対応、慣れない中、急に回数増やすことはやはり教員の疲労が蓄積し免疫力低下を招き、感染しやすくなるのは誰の目にも明らかと思いました。」

■「今日受け入れた学年は疲れきっていました。25分校庭か体育館で運動させると校長から命令があったので、三密しかもマスクしながら運動でひどく暑かったようです。」

■「マスク付けっぱなしはしんどいです。マスク熱中症なんて言葉も出てきていますが。学校でマスクを付けたままというのは、健康配慮がかなりありそうです。マスク熱中症で倒れたなんて話も聞きます。息苦しくてもずらせない、外せないというのはなかなかきついです。私は自分ができることをやると割り切ってますが、週3回、週4回と増えていく分散登校は今のところ、分散登校さえやれば良いという低い目的意識で留まっていて危険に感じます。子供に発言させないように校長から指示されているので、わたしがずっと話しているのです。」

■「(休校中なので)授業をすすめることは出来ないので、課題の説明になります。本当は行かせたくないと思ってるけど差が出るのが嫌で行かせてると(保護者に)言われました。教員は動きがぎくしゃくしてます。そのせいで、手厚い対応できずに、保護者からは、『手厚くないじゃないか』とクレームもありました。」

 こうした声を聞いたので、私たちの会では、東京の各区・市の対応をホームページ等で調べてみました。どの区や市でも、学習課題を学校のホームページで示しています。また、一部に分散登校や資料を学校に受け取りにいくようなところもありますが、5月中に1回か、多くても週に1回でした。それは、東京都が全国一の感染者数で、それをふまえての対応だと理解しました。三鷹のように週に2回、しかも週に3回、4回と増やしていくところは他にありませんでした。

 先日の1回目の要請書には、次の様な要請項目がありました。

「要請3.今後、学校再開・休校措置など様々な対応がされるにあたっては、子どもの安全・健康を守るために学校からの要望を丁寧に聞き取り、物品確保も含めて必要な予算措置をお願いします。」

これに対する市長からの回答書には次の様に書かれています。

「要望No.3に対する回答

今後、学校再開・休校措置などの対応をするにあたっては、国や都が示しているガイドラインに基づき感染防止策の徹底を図るとともに、心のケアを含めた子どもの安全・健康を第一に考え、学校と緊密に連携をとりながら、きめ細かな対応に努めてまいります。」

子どもたちの安全・感染リスクを避けるため、また指導される市内の先生方の健康を考え、上記の主旨を守り、登校日の回数について再検討を要請します。東京都内の多くの区市の状況を見て、適切な判断を重ねてお願いします。

(資料として持参した、市や区の対応をご覧ください)

都内の区の5月11日以降の学校の学習保障の対応(登校日・連絡日の記載のない区は設定されていません)】各区HP等を調べて作成しました。(5月12日時点)

■千代田区

各学校で週ごとの指導計画を作成しHPに掲載。学校や担任からのメッセージを記載し子どもとのつながりを意識する。健康状況等の把握のため担任等から定期に家庭に電話連絡。

■新宿区

HPに新宿区立学校の先生や新宿区役所などの職員が作成した「おうちdeチャレンジ」を掲載。1週間分の学習課題を学校HPで配信します。引き続き電話連絡日を行います。

■文京区

学校から課題を渡す。提出は郵送でも可。ICT機器を活用した学習支援を行う。機器の貸出しは、1家庭1台(4月)から、子どもの人数分貸し出す。学校ごとに必要に応じて家庭に連絡。

■世田谷区

学習プリントを5/11,12で配布、後日回収して採点、返却する。HPで「せたがやまなびチャンネル」 学習動画をアップしている。(学校からの特定テーマに関する課題の配布課題に応じた学習を行い学校に提出学校から課題の解説や提出物に関する評価コメントなどを配布)

■中野区

1回以上、家庭への電話や訪問をして児童・生徒の状況を把握します。家庭学習の目安となるように、毎週月曜日の朝までに、学級または学年ごとに1週間分の時間割を学校のホームページに掲載します。

■練馬区

学校が配付したり学校ホームページに掲載したりする課題に取り組みます。家庭で学校ホームページを閲覧したり課題をダウンロードしたりできない場合は、学校で直接課題を受け渡す、学校のパソコンルームの活用機会を提供する等の対応をいたします。

■杉並区

登校日なし。週1回は電話連絡をする。学習課題は、各校作成し、保護者が取りに来ることが基本としている。学習のためのWEBサイトは紹介している。

■台東区

週に1回程度の連絡日を設定いたします。来校するかどうかは任意となります。教員等と電話または面談方式で相談することもできます。広報課と指導課が学校と共同して作成する教育動画を配信・ICT機器の貸し出し(貸出予定台数は、各200台)

■中央区

学校のHPで、休業中の課題や自宅学習時間割・先生たちからのメッセージなどを見ることができます。保健室・相談室のページでは臨時のおたよりで情報発信をしています。

■墨田区

週に1回、校庭で1時間程度の登校可能日を設けます。学びの支援ポータルサイト『レッツ スタディ!@home』」を開設しました。ログインには学校番号やID、パスワードの入力が必要となります。

近隣の市の5月11日以降の学校の対応(各市HP等を調べて作成。5月10日現在)

①登校日・連絡日等の設定(この他に個別の登校や電話等による相談を実施)

②学習保障

■武蔵野市

①登校日の設定はいたしません

②家庭のICT環境を活用し、教職員から児童・生徒へ向けたメッセージ動画や、家庭学習として提示した課題のポイント解説動画などの教材提供や動画配信等を行う予定。ワークシート等ホームページに掲載した資料について、家庭で印刷等の対応ができない場合、感染症拡大防止に配慮した上で、教材等を配付する日を設定することがあります。

■小金井市

①学校からのお知らせ等の配布、学校への提出物の回収、休校中の課題の連絡や取組状況の確認を行うために、連絡日を設定。一斉指導を行うのではなく、短時間で個別に対応することを基本として、一度に多くの児童・生徒が集まらないよう工夫します。

②教科書等を活用した学習課題も提示。家庭のパソコンやタブレット、スマ-トフォン等、ICT機器の活用を考えています。詳細は、学校から連絡。

■小平市

①週1日程度の相談日を設ける。

②相談日に、家庭学習課題の提示や回収、健康状態の確認・相談などを行う。

■調布市

①週に1回、学年ごとに(分散)登校日を設ける。

②1週間分の学習課題(教科書・副教材・プリント等)を渡し、翌週の登校日に児童が取り組んだ課題を学校に提出し、担任が確認します。(A小学校のHPより)

三鷹の教育を考える会 

新日本婦人の会三鷹支部

婦人民主クラブ三鷹支部

登校風景
 


0 件のコメント:

コメントを投稿

「コメントの記入者」の「▼」を押すと、匿名やペンネームでコメントできます