2020年5月14日木曜日

新型コロナウイルス感染症と子どもと教育に関する三鷹市への要望(第2次)と結果

非常事態宣言の中で学校休校が続き、東京の各地では、子どもの学習保障について学校HPで学習課題の提示・動画配信・相談日・分散登校日の設定など様々な対応がされています。三鷹市では、分散登校日を柱にしていますが、さらなる回数増の計画があり学校現場などから多くの問題点が指摘されていました。こうした声を受けて三鷹市民連絡会に参加する3団体が、市長に下記のような要請を行いました。三鷹市は、要請後、その主旨に沿った対応をされ、学校現場から「現場の声を受けとめた対応に変わってよかった」という声が多数寄せられています。では、どんな問題が起きていたのか、要請文をお読みください。

 新型コロナウイルス感染症と子どもと教育に関する三鷹市への要望(第2次)

三鷹市長 河村 孝 様 2020年5月14日

 三鷹市における、この問題に対する市長を先頭にしたこれまでの対応に敬意を表します。

4月当初に市長宛の要請書を提出し、直接お会いして市民の声を聞く機会を持っていただきありがとうございます。その際、「子どもの安全・健康を守るために、子ども自身・保護者からの相談窓口の設置を検討してください」との要望項目については、その後、市としての相談窓口がつくられ、学校を通して保護者に知らせていただき感謝いたします。

「三鷹市全体で、今こそワンチームとなってこの苦難を乗り越えていきましょう。」という市長の力強い訴えのもと、新型コロナウイルス感染 三鷹市緊急対応方針(第2弾)が発表され、市民の期待が高まっています。

ところが、この方針の中でただ一つ教育分野の方針に対して、この数日、保護者、また市内の先生方から、新型コロナウイルス感染症対策三鷹市民連絡会に実情を訴え改善を求めるメールがたくさん届いています。中には方針から外れるような実情も記されています。何よりも子どもの安全を第一にした対応を市民として求めるために、寄せられたその内容をお伝えし、市長の指導力を発揮して第2弾の方針を生かした対応がされるように次の事項について要請します。

学校休校中の分散登校の回数については、東京都内の他の自治体の動向にも注視し、子どもと教職員の安全・健康を第一に考え、再検討すること。少なくとも今以上の回数増をしないこと。

 【要請理由】

「新型コロナウイルス感染症 三鷹市緊急対応方針(第2弾)」の中での、「小中学校の児童・生徒の学習支援等に向けて」の項目の中では、次の様に書かれています。

「小中学校の分散登校及び教員による個別面談の実施 【指導課】

臨時休校期間が長期化している状況を踏まえ、感染拡大防止に最大限留意しながら、各学校において、学年・時間別等、少人数で分散登校日を設定し、学習計画に基づく家庭学習の状況や健康状況の確認等を行います(1教室10人程度で実施。当面、12時間以内、週2回程度を予定)。また、希望する児童・生徒について、電話・メール等で事前に予定を調整の上、教員による個別の面談を実施し、学習に関する質問への対応や心のケアを行います。」

 子どもたちは友だちに会えるのを楽しみにしていますが、分散登校が始まったばかりでも、保護者の方からは、次の様な心配する声も届いています。こうした保護者の方のご意見は、市役所にも届いていると思います。

□子どもは、マスクしながら運動でひどく暑かったようです。運動は絶対ですか?心配です。

□(都内で医療関係で働いている保護者)三鷹の考えていることがわからない。医療現場のことを考えて感染を防いでほしい。でも、まわりが登校させるのに、うちだけ行かせないわけにいかない。東京都全体がまだ自粛しているので、週2回はやりすぎでは。もし感染が起きた学校には市はどういう対応をするのでしょうか。

ところが、ここ数日、市内の学校現場から様々な声が届いています。学校の中の様子は、わたしたち市民には分からないので、驚いています。ぜひ市長さんにもこうした声をお伝えしたいと思います。

今週は、市の方針にあるように週2回の分散登校となっていますが、来週は週3回登校、その次の週は週4回登校の準備をされ、しかも学級を2つに分けるような検討がされているので、これは、「1教室10人程度で実施」という市長の方針から外れるのではないでしょうか。中学校では、40人学級定数のため、今後クラスを半分にしても約20人近い生徒が同じ教室に入ると三密になってしまい心配です。次の様な声も届いています。

■「今日の分散登校の際にも、運動の時間にボールを共用して、肩を組んでいる生徒がいました。いろいろやらせたいのは分かりますが、感染対策は徹底できていません。なぜ三鷹だけこのようなスタートなのか知りたいところです。職員の中には妊婦さんが複数いますし、生徒同様、職員の安全、健康の維持が難しいと感じました。」

マスク着用での学校内での生活についての心配の声も届いています。

■「マスクをしながら ずっとしゃべり続けなければならない。じつは これが心肺に負担が相当かかることが職員室で話題に上がりました。ウィルス対応マスクの中で軽い酸欠状態(汚れた空気?)になっているのですね。わたしは、午後、息苦しくて頭痛がしました。赤ちゃんとご自分の新鮮な酸素を必要とする妊婦さんは、絶対やっちゃだめだと思いました。まだ暑さに慣れない中、子どもともども感染対策しながらの対応、慣れない中、急に回数増やすことはやはり教員の疲労が蓄積し免疫力低下を招き、感染しやすくなるのは誰の目にも明らかと思いました。」

■「今日受け入れた学年は疲れきっていました。25分校庭か体育館で運動させると校長から命令があったので、三密しかもマスクしながら運動でひどく暑かったようです。」

■「マスク付けっぱなしはしんどいです。マスク熱中症なんて言葉も出てきていますが。学校でマスクを付けたままというのは、健康配慮がかなりありそうです。マスク熱中症で倒れたなんて話も聞きます。息苦しくてもずらせない、外せないというのはなかなかきついです。私は自分ができることをやると割り切ってますが、週3回、週4回と増えていく分散登校は今のところ、分散登校さえやれば良いという低い目的意識で留まっていて危険に感じます。子供に発言させないように校長から指示されているので、わたしがずっと話しているのです。」

■「(休校中なので)授業をすすめることは出来ないので、課題の説明になります。本当は行かせたくないと思ってるけど差が出るのが嫌で行かせてると(保護者に)言われました。教員は動きがぎくしゃくしてます。そのせいで、手厚い対応できずに、保護者からは、『手厚くないじゃないか』とクレームもありました。」

 こうした声を聞いたので、私たちの会では、東京の各区・市の対応をホームページ等で調べてみました。どの区や市でも、学習課題を学校のホームページで示しています。また、一部に分散登校や資料を学校に受け取りにいくようなところもありますが、5月中に1回か、多くても週に1回でした。それは、東京都が全国一の感染者数で、それをふまえての対応だと理解しました。三鷹のように週に2回、しかも週に3回、4回と増やしていくところは他にありませんでした。

 先日の1回目の要請書には、次の様な要請項目がありました。

「要請3.今後、学校再開・休校措置など様々な対応がされるにあたっては、子どもの安全・健康を守るために学校からの要望を丁寧に聞き取り、物品確保も含めて必要な予算措置をお願いします。」

これに対する市長からの回答書には次の様に書かれています。

「要望No.3に対する回答

今後、学校再開・休校措置などの対応をするにあたっては、国や都が示しているガイドラインに基づき感染防止策の徹底を図るとともに、心のケアを含めた子どもの安全・健康を第一に考え、学校と緊密に連携をとりながら、きめ細かな対応に努めてまいります。」

子どもたちの安全・感染リスクを避けるため、また指導される市内の先生方の健康を考え、上記の主旨を守り、登校日の回数について再検討を要請します。東京都内の多くの区市の状況を見て、適切な判断を重ねてお願いします。

(資料として持参した、市や区の対応をご覧ください)

都内の区の5月11日以降の学校の学習保障の対応(登校日・連絡日の記載のない区は設定されていません)】各区HP等を調べて作成しました。(5月12日時点)

■千代田区

各学校で週ごとの指導計画を作成しHPに掲載。学校や担任からのメッセージを記載し子どもとのつながりを意識する。健康状況等の把握のため担任等から定期に家庭に電話連絡。

■新宿区

HPに新宿区立学校の先生や新宿区役所などの職員が作成した「おうちdeチャレンジ」を掲載。1週間分の学習課題を学校HPで配信します。引き続き電話連絡日を行います。

■文京区

学校から課題を渡す。提出は郵送でも可。ICT機器を活用した学習支援を行う。機器の貸出しは、1家庭1台(4月)から、子どもの人数分貸し出す。学校ごとに必要に応じて家庭に連絡。

■世田谷区

学習プリントを5/11,12で配布、後日回収して採点、返却する。HPで「せたがやまなびチャンネル」 学習動画をアップしている。(学校からの特定テーマに関する課題の配布課題に応じた学習を行い学校に提出学校から課題の解説や提出物に関する評価コメントなどを配布)

■中野区

1回以上、家庭への電話や訪問をして児童・生徒の状況を把握します。家庭学習の目安となるように、毎週月曜日の朝までに、学級または学年ごとに1週間分の時間割を学校のホームページに掲載します。

■練馬区

学校が配付したり学校ホームページに掲載したりする課題に取り組みます。家庭で学校ホームページを閲覧したり課題をダウンロードしたりできない場合は、学校で直接課題を受け渡す、学校のパソコンルームの活用機会を提供する等の対応をいたします。

■杉並区

登校日なし。週1回は電話連絡をする。学習課題は、各校作成し、保護者が取りに来ることが基本としている。学習のためのWEBサイトは紹介している。

■台東区

週に1回程度の連絡日を設定いたします。来校するかどうかは任意となります。教員等と電話または面談方式で相談することもできます。広報課と指導課が学校と共同して作成する教育動画を配信・ICT機器の貸し出し(貸出予定台数は、各200台)

■中央区

学校のHPで、休業中の課題や自宅学習時間割・先生たちからのメッセージなどを見ることができます。保健室・相談室のページでは臨時のおたよりで情報発信をしています。

■墨田区

週に1回、校庭で1時間程度の登校可能日を設けます。学びの支援ポータルサイト『レッツ スタディ!@home』」を開設しました。ログインには学校番号やID、パスワードの入力が必要となります。

近隣の市の5月11日以降の学校の対応(各市HP等を調べて作成。5月10日現在)

①登校日・連絡日等の設定(この他に個別の登校や電話等による相談を実施)

②学習保障

■武蔵野市

①登校日の設定はいたしません

②家庭のICT環境を活用し、教職員から児童・生徒へ向けたメッセージ動画や、家庭学習として提示した課題のポイント解説動画などの教材提供や動画配信等を行う予定。ワークシート等ホームページに掲載した資料について、家庭で印刷等の対応ができない場合、感染症拡大防止に配慮した上で、教材等を配付する日を設定することがあります。

■小金井市

①学校からのお知らせ等の配布、学校への提出物の回収、休校中の課題の連絡や取組状況の確認を行うために、連絡日を設定。一斉指導を行うのではなく、短時間で個別に対応することを基本として、一度に多くの児童・生徒が集まらないよう工夫します。

②教科書等を活用した学習課題も提示。家庭のパソコンやタブレット、スマ-トフォン等、ICT機器の活用を考えています。詳細は、学校から連絡。

■小平市

①週1日程度の相談日を設ける。

②相談日に、家庭学習課題の提示や回収、健康状態の確認・相談などを行う。

■調布市

①週に1回、学年ごとに(分散)登校日を設ける。

②1週間分の学習課題(教科書・副教材・プリント等)を渡し、翌週の登校日に児童が取り組んだ課題を学校に提出し、担任が確認します。(A小学校のHPより)

三鷹の教育を考える会 

新日本婦人の会三鷹支部

婦人民主クラブ三鷹支部

登校風景
 


国連・子どもの権利委員会:新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関する声明

学校休校が続く中、子どもの生命・健康・安全を守ることを第一に考えた対応がまず大切です。それと同時に、友だちと学び合う場・遊びの体験の場である学校の役割の大切さを実感する日々です。大人が子どものために何をなすべきか考える時、4月に出された国連子どもの権利委員会の声明は大切な視点を示しています。その全文を紹介します。

国連・子どもの権利委員会:新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関する声明

原文:英語  日本語訳:平野裕二(日本語訳PDF)

 子どもの権利委員会は、COVID-19パンデミックが子どもたちに及ぼす重大な身体的、情緒的および身体的影響について警告するとともに、各国に対し、子どもたちの権利を保護するよう求める。

 子どもの権利委員会は、COVID-19パンデミックの影響による世界中の子どもたち(とくに、脆弱な状況に置かれている子どもたち)の状況について懸念を表明する。とくに緊急事態および義務的ロックダウンを宣言した国々において、多くの子どもたちが身体的、情緒的および心理的に重大な影響を受けている。

 10の人権条約機関が発した宣言に加えて、委員会はさらに、各国に対し、COVID-19パンデミックが突きつける公衆衛生上の脅威に対処するための措置をとるうえで子どもの権利を尊重するよう促すものである。とくに委員会は、各国に対し、以下の措置をとるよう求める。

 1.今回のパンデミックが子どもの権利に及ぼす健康面、社会面、情緒面、経済面およびレクリエーション面の影響を考慮すること。当初は短期のものとして宣言されたとはいえ、各国の緊急事態宣言および(または)災害宣言がより長期間維持され、人権の享受に対するさらに長期間の制限につながる可能性があることは明らかになっている。委員会は、危機の状況にあっては、公衆衛生を保護するため、一部の人権の享受の制限につながる可能性がある措置が国際人権法において例外的に許容されていることを認識するものである。しかしながら、このような制限は必要な場合にのみ課され、比例性を有しており、かつ最小限のものに限られなければならない。加えて、COVID-19パンデミックのために財源の利用可能性に相当の悪影響が生じる可能性があることは認知しながらも、これらの困難は条約実施を阻害するものとみなされるべきではない。このような困難にもかかわらず、各国は、パンデミックへの対応(資源の配分の制約および資源の配分に関する決定を含む)が子どもの最善の利益の原則を反映したものになることを確保するべきである。

 2.子どもたちが休息、余暇、レクリエーションおよび文化的・芸術的活動に対する権利を享受できるようにするための、オルタナティブかつ創造的な解決策を模索すること。このような解決策には、社会的距離を保つための要領およびその他の衛生基準を尊重する監督下での野外活動(少なくとも1日1回)、ならびに、テレビ、ラジオおよびオンラインにおける子どもにやさしい文化的・芸術的活動が含まれるべきである。

 3.オンライン学習が、すでに存在する不平等を悪化させ、または生徒・教員間の相互交流に置き換わることがないようにすること。オンライン学習は、教室における学習に代わる創造的な手段ではあるが、テクノロジーもしくはインターネットへのアクセスが限られているもしくはまったくない子ども、または親による十分な支援が得られない子どもにとっては、課題を突きつけるものでもある。このような子どもたちが教員による指導および支援を享受できるようにするための、オルタナティブな解決策が利用可能とされるべきである。

 4.緊急事態、災害またはロックダウンの期間中、子どもたちに栄養のある食事が提供されるようにするための即時的措置を起動させること。学校給食制度を通じてしか栄養のある食事を得られない子どもたちも多いためである。

 5.子どもたちへの、保健ケア、水、衛生および出生登録を含む基礎的サービスの提供を維持すること。保健制度への圧力の高まりおよび資源の欠乏にもかかわらず、子どもたちは保健ケアへのアクセス(検査および将来開発される可能性があるワクチン、COVID-19関連の治療およびCOVID-19とは関係のない治療、精神保健サービスならびに既存疾患の治療へのアクセスを含む)を否定されるべきではない。子どもたちはまた、緊急事態、災害またはロックダウンの期間中、清潔な水および衛生設備にもアクセスできるべきである。出生登録サービスは停止されるべきではない。

 6.子どもの保護のための中核的サービスを必須サービスに位置づけ、これらのサービス(必要な場合の家庭訪問を含む)が機能し続けかつ利用可能とされ続けることを確保するとともに、ロックダウン下で暮らしている子どもたちに対し、専門家による精神保健サービスを提供すること。子どもたちは、外出制限により、家庭におけるいっそうの身体的および心理的暴力にさらされ、または過密でありかつ最低限の居住適正条件を欠いた家庭で過ごすことを余儀なくされる可能性がある。障害および行動上の問題がある子どもたちおよびその家族は、密室においてさらなる困難に直面しかねない。各国は、電話およびオンラインによる通報・付託制度ならびにテレビ、ラジオおよびオンライン経路を通じた注意喚起・意識啓発活動を強化するべきである。COVID-19パンデミックの経済的および社会的影響を緩和するための戦略にも、子どもたち(とくに貧困下で暮らしている子どもおよび十分な住居にアクセスできていない子ども)を保護するための具体的措置を含めることが求められる。

 7.パンデミックが引き起こす例外的状況によって脆弱性がいっそう高まる子どもたちを保護すること。これには、障害のある子ども、貧困下で暮らしている子ども、路上の状況にある子ども、移住者・庇護申請者・難民・国内避難民である子ども、マイノリティおよび先住民族の子ども、HIV/AIDSを含む基礎疾患がある子ども、自由を奪われている子どもまたは警察の留置場、刑事施設、閉鎖養護施設、移住者拘禁施設もしくはキャンプに収容されている子どもならびに施設で暮らしている子どもが含まれる。各国は、COVID-19パンデミックに対処するための措置において差別を受けないすべての子どもの権利を尊重するとともに、脆弱な状況に置かれている子どもたちを保護するための焦点化された措置をとるべきである。

 8.あらゆる形態の拘禁下に置かれている子どもたちを可能な場合には常に解放するとともに、解放することのできない子どもたちに対し、家族との定期的接触を維持するための手段を提供すること。多くの国は、施設で暮らしている子どもまたは自由を奪われている子ども(警察施設、刑事施設、閉鎖施設、移住者拘禁施設もしくはキャンプに収容されている子どもを含む)との面会および接触の機会を制限する措置をとっている。これらの制限は短期的には必要な措置とみなされうるものの、長期に及べば子どもたちに著しい悪影響をもたらすことになろう。子どもたちは常に、家族との定期的接触を、直接ではないにせよ電子的通信または電話を通じて維持することを認められるべきである。緊急事態、災害宣言または国の命令による外出制限の期間が延長される場合、このような面会を禁止する措置の再評価を考慮することが求められる。移住の状況下にある子どもたちは拘禁されるべきではなく、また親がいっしょにいる場合には親から引き離されるべきでもない。

 9.COVID-19に関連する国の指導および指示に違反したことを理由とする子どもの逮捕または拘禁を行なわないようにするとともに、逮捕または拘禁されたいかなる子どもも直ちに家族のもとに帰されるようにすること。

 10.COVID-19および感染予防法に関する正確な情報を、子どもにやさしく、かつすべての子ども(障害のある子ども、移住者である子どもおよびインターネットへのアクセスが限られている子どもを含む)にとってアクセス可能な言語および形式で普及すること。

 11.今回のパンデミックに関する意思決定プロセスにおいて子どもたちの意見が聴かれかつ考慮される機会を提供すること。子どもたちは、現在起きていることを理解し、かつパンデミックへの対応の際に行なわれる決定に参加していると感じることができるべきである。

2020年4月8日




2020年5月6日水曜日

5月末までの学校休業の再延長の中での、学校の役割と教職員の働き方

5月末まで学校休業も延長されました。これは、市内の教職員組合が、学校職場向けに、話し合いの資料として発行したニュースです。

 5月末までの学校休業の再延長の中での、学校の役割と教職員の働き方について

2020..7 都教組北多摩東支部三鷹地区協議会

 ■学校の役割(文部科学省のガイドラインより)

新型コロナウイルスに対応した臨時休業中の文部科学省ガイドラインの最新版は、

4月17日付「通知」と、5月1日付「懇談会の提言」(「学校における新型コロナウイルス感染症の対策に関する懇談会の提言」)と、これをもとにした 5月1日付「通知」(ガイドラインの補足)です。

 ■5月1日付「懇談会の提言の基本的認識 

○長期間ウイルスと共に生きる社会、○子どもの学びの保障、の両立を図る

①「社会全体が、長期間にわたりこの新たなウイルスと共に生きていかなければならない」「長期間にわたって、新規感染者が生ずる」

②「このような状態が長期間続けば、子どもの学びの保障や心身の健康などに関して深刻な問題が生じる」

③「学校における集団感染発生報告は国内外においても稀であり、小児年齢の発生割合・重症割合も少ない」

①~③から「学校における感染及び感染拡大のリスクを可能な限り低減しつつ、段階的に実施可能な教育活動を開始し、その評価をしながら再開に向けての取組を進めていく」

 ■解説

①5月末までの休校中の教職員の仕事は二つです。

1つ目は、分散登校日の設定等の教育活動です。感染リスクを考えてお子さんを登校させない家庭が一定数あることも当然予想されます。

2つ目は、三鷹市の方針で実施する「休校中の子どもの居場所確保」への参加です。4月には校庭利用・昼食提供・小学校での校舎を利用した預かり事業等が行われました。教育活動が始まるのですから、2つ目の事業については、教職員の負担を軽減し、本務に集中できるように地区協は、引き続き市教委に改善を求めていきます。

 ②教職員の働き方

「提言」では、「学校における3つの密を避ける工夫」と並んで、「教職員についても、同様の対応を徹底し、特に、体調の悪い教職員が休みやすいような環境づくりをする必要」が強調され、「通知」では、具体的に次の様に書かれています。

○「登校日を設ける場合にも~児童生徒の負担が過重にならないように配慮するとともに、各学校の指導体制に見合った日数・時数となっているかなど、教職員の負担が過重とならないよう配慮すること」

○「可能な範囲内で、在宅勤務や時差出勤のほか、管理職を含む教職員がローテーションで出勤するなどの勤務形態の工夫を行うこと。」

妊娠している教職員がいる職場では、ご本人と母胎保護のため「子どもの居場所確保」への参加で配慮がされているかを含めて、職場でぜひ話し合いましょう。また、3月以降、激務が続き連日出勤されている管理職をローテーションの勤務形態に組み込み、体調管理が出来る配慮も合わせて必要です。

 □多摩地域の各市の動向

感染の減少をめざし「接触を8割減らす」「在宅勤務の推進」の中で、登校日は、週1回程度、職員の出勤は週2回未満というところが多くなっています。保育所が医療従事者に限定して預かる所が多く、教員の子どもの預け先がない実情もあります。


 市民連絡会への市長からの回答

「予算・相談窓口は前向き。感染防止のための小中一貫休止には後ろ向き」

4月3日、市民連絡会に参加する3団体と三鷹地区協は、河村孝三鷹市長に要請し、懇談しました。

4月22日に市長名で回答書が届きました。

回答のポイントは、

要請1子ども自身、また保護者からの相談窓口の設置を求めます。

【回答】スクールカウンセラーの配置・相談機関との連携した取り組みを行う(保護者からの相談窓口を設置しフェアキャストで保護者にお知らせを配信)

要請2先生方が自校の子どもの指導とケアに専念できるように、小中一貫教育での他校の子ども同士の交流活動や教職員の行き来は、感染拡大防止のためにも休止してください。「相互乗り入れ授業」のために措置される講師の方の職を保障し、各学校で子どもたちのために最も必要な教育活動に寄与されるように、対応をお願いします。

【回答】①健康と安全を考慮して実施方法の検討をします。

要請3学校からの要望を丁寧に聞き取り、物品確保も含めて大胆な予算措置をお願いします。

【回答】学校と緊密に連携しきめ細かに対応します。


 ■感染拡大に対応した「子どもの居場所確保事業」の昼食提供の見直しを市長・教育長に要請

4月13日、「子どもの居場所確保」(①校庭の利用、②教室の利用、③昼食の提供、)等の見直しを地区協は要請しました。

三鷹地区協は、「3月からの全国学校一斉臨時休校中に三鷹市で行なわれてきた校庭等を利用する子どもの居場所確保の対応は、子どもの生活の実態に即して行われ、保護者・市民から歓迎されてきました。」と、述べたうえで、感染拡大の状況の変化に対応して、再検討することを求めました。特に、昼食については、学童で希望する子どもへの提供は大切だが、それ以外に昼食のためだけに来校させる措置については、持ち帰り方式への変更などを提案し、感染リスクの面から見直しを求めました。

各学校から各家庭に「キャンセル希望の方は13日正午までに連絡を」と通知されわずか1日半でも申し込んだ保護者の大半がキャンセルされました。要請の席上、市教委は、職場からの声を丁寧に聞く姿勢を見せましたが、三鷹市は事業を継続しました。

5月1日付の文科省通知では、今後学校給食を実施する場合でも、以下の様な工夫を求めています。

①給食調理場で弁当容器に盛り付けて提供

②配膳を伴わない簡易な給食(パン、牛乳等)

③例外的に持ち帰りを実施

非常事態宣言が出されたために、周辺の市では予定していた昼食提供を中止したりして、三鷹の様な①の形式の昼食提供はほとんど見られませんでした。4月の全国一斉学校休校中は、当然学校給食はなく、「居場所確保」事業の中の昼食提供でした。新型コロナウイルス感染症拡大に対応した見直しを求めた地区協の要請は、感染リスクの軽減を求める保護者・市民・教職員の声をもとに行いました。





2020年5月1日金曜日

コロナ問題労働相談 5月16日全国緊急ホットライン 平日の相談も


三鷹地区協などが参加している全労連の労働相談のご案内です。
三鷹市民連絡会事務局は、全労連と連絡をとり、解雇・雇止め・休業補償など様々な相談が寄せられていることをお聞きしました。相談者の約5割は非正規労働者で、3月からの全労連相談窓口には千件近い相談が寄せられていると話されました。

全国一斉のホットラインに取り組むので、ぜひ利用してほしいと呼びかけています。


全国コロナ問題緊急労働相談ホットライン
5月16日 10時~17時
📞 0120・378・060


平日の相談は、下記の通りです。
新型コロナウイルス問題労働相談の全国緊急ホットラインを行います。

新型コロナウィルスに関する労働相談Q&A

Q1.会社がコロナウイルスの影響で休業になりました。休業期間中の賃金は保障されるのでしょうか?
A1.休業の判断を、会社(使用者側)が行った場合、正規非正規にかかわらず、契約どおりの賃金が全額補償されるべきです(民法5362)。つまり、賃金全額の請求権が、労働者にはあります。
 ただし、これは民法規定ですから、それに基づく裁判はおこせても、労働基準監督官が会社を指導することはできません。そこで、労働基準法は、最低でも平均賃金の6割を保障するよう、使用者に義務付けています(労働基準法26条)。厚生労働省のQ&Aで、6割が強調されているのは、そのためです。
 私たち労働組合では、こうしたケースでは、賃金の全額払いを求めています。会社と約束(労使協定)を結び、実施させているところも少なくありません。会社が支払いに応じないとか、最低限の6割しか支払われないといった場合には、労働組合に入り、しっかりと請求していきましょう。詳しくは、ご相談を。

Q2.コロナウイルスの影響で、業務が減ったため職場から自宅で待機するよう命じられました。待機期間中の賃金は保障されるのでしょうか?
A.2.受注の減少などで、会社が勤務時間の縮小や勤務日数の削減をした場合も、休業と同じです。A1.に記載しているように、会社には、最低でも6割の賃金を保障することが義務付けられていますし(労働基準法26条)、労働者は減らされた時間や日数分の賃金を請求する権利があります。
 ただし、会社がこうした義務を履行しない場合、個人で経営者に支払いを求めると、報復を受けてしまうことが、時々あります(報復そのものも違法ですが)。できるだけ多くの同僚たちと相談し、意思統一して、皆で要求することが大事です。不安がある場合は、ご相談を。

Q3.会社は、政府の「緊急事態宣言」による休業なので、休業手当は支払わないと言うのですが?
A3.政府は、「緊急事態宣言」を基にして、「自粛の要請」が行われたとしても、それをもってただちに、不可抗力による休業(支払い義務の免除)にあたるわけではない、と国会で答弁しています。会社が、なんらかのかたちで労働者を働かせることが可能であるのに、休業を判断する場合は、会社に休業手当の支払い義務があります。休み期間の賃金については、全額の支払いを求めましょう。ただし、今後、都道府県知事が「業務停止命令」をだしたり、都市封鎖に伴って通勤不能な事態となった場合などは、休業期間中の全額の賃金や6割の休業手当を支払う法的義務を、会社に求めることが難しくなるかもしれません。そうした場合であっても、労働組合は、休業手当の支払いを求め、会社と約束(労使協定)を結んでいるところもあります。
 なお、労働組合は、休業手当の一定割合を政府が助成する「雇用調整助成金」の活用を会社に勧め、会社の負担の軽減もはかっています。公的な制度を活用し、事業と雇用の存続を求めるため、労働組合をつくって職場の同僚と力をあわせて、この危機を乗り越えましょう。

Q4.子どもの学校が休校のため子どもの世話をするため仕事を休まなくてはならなくなりました。その間の賃金は保障されるのでしょうか?
A4.国は臨時休校の対応として、社員に特別な有給休暇を取得させた企業に対し、日額8330円を上限とする助成金を支給しています。また、個人で業務委託を受けて働いている人が、子どもの世話のために仕事を休んだ場合は、国から日額4100円を補償しています。
 ただし、これは特別な有給休暇を取得させた企業への補助金となっていますので、労働者個人に国から支給されるものではありません。まずは特別休暇を職場に認めてもらう必要がありますので会社や職場に確認してみましょう。
 会社が特別休暇を認めない場合は、労働組合に入り、対応を求めていきましょう。

Q5.コロナウイルスの影響で経営が苦しくなったので、辞めてもらいたいと言われました。確かに業績は悪化しているようですから、仕方がないのでしょうか?
A5.あきらめることはありません。「辞めるつもりはありません」と会社に伝えましょう。もし、「辞めないなら解雇する」と言ってきたら、落ち着いて、労働組合や労働問題に詳しい弁護士に相談をしてください。会社内に労働組合がない場合は、ご連絡ください。今は景気の先行き見通しがきかず、多くの会社が採用を手控えており、一般的には転職が困難な情勢といえます。解雇を通告されるのは、非常にストレスのかかる辛いことですが、ここは落ち着いて、対応しましょう。
 まず、会社は労働者を自由に解雇することはできません。客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は無効です(労働契約法第16条)。業績悪化を理由とした解雇は、経営上の理由による「整理解雇」と呼ばれるもので、労働者には責任はありません。ですから、解雇が有効とみなされるには、次のような4つの要件が必要です(これは過去の多くの裁判の積み重ねから確立された要件です)。
人員削減の必要性があること
解雇を回避するための努力が尽くされていること
解雇される者の選定基準及び選定が合理的であること
事前に使用者が解雇される者へ説明・協議を尽くしていること
 つまり、解雇をせざるをえないほど、事業がひっ迫した状況にあるのか。会社の預貯金や借入金の工面、株主配当、残業削減、人件費・役員報酬の見直し(賃金カット)などは検討されたのか。先行して希望退職の募集などはなされたのか。新規採用は停止しているか。政府が提供している雇用維持のための様々な制度(雇用調整助成金や融資制度等)の活用はなされているか。解雇の必要性や内容、補償等について対象者の納得を得るだけの説明や協議はなされたのか、など、売り上げの減少が事実だとしても、それで解雇が有効となるわけではなく、解雇を回避するための具体的な手立てが尽くされていることが、会社には求められます。これらは、事業所の閉鎖や会社解散といったことでも同様です。
 解雇事件の解決方法としては、解雇を無効として職場復帰する解決以外に、一定の金銭の支払をうけて退職する方法もあります。「会社の嫌がらせなどがきつくて、職場には戻りたくないが、解雇には納得できない」という方でも、解雇による心身と生活への被害をできるだけ回復するため、会社と交渉する価値はあります。
 なお、会社によっては、「解雇予告手当」を支払ったから解雇は成立したと言ってくる場合があります。これは、労働基準法201項において、「解雇する場合は労働者に対して30日以上前に告知するか、解雇予告手当を支払う必要がある」とされていることを利用した言い分ですが、解雇予告手当を支払ったとしても、上に示した合理的な理由や要件を満たさない解雇は無効です。
 ただし、労働者が解雇予告手当を受けとったことをもって、会社は「労働者も解雇に合意済みなので、もはや、雇用関係はない」と主張してくることもあります。そこで、会社に対しては、早急に、「解雇は争う。解雇予告手当は将来の賃金として受領したまでである」と伝えておきましょう。

Q6.コロナウイルスの影響で採用の内定が取り消されました。どうすればいいのでしょうか?
A6.採用内定がでた時点で、すでに雇用契約は成立しており、内定の取り消しは「解雇」と同じです。客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない採用内定の取消は無効となります(労働契約法16条)。コロナの影響ということであれば、「整理解雇」と同じであり、特別なルールがあります(A5を参照)。是非、労働組合に相談してください。
 なお、新卒の採用内定者について、政府は、経営者団体に対して「特段の配慮」を要請しています(内閣官房内閣審議官、文部科学省高等教育局長、厚生労働省人材開発統括官、経済産業省経済産業政策局長令和2313日付け「新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた2020年度卒業・終了予定者等の就職・採用活動及び2019年度卒業・終了予定者等の内定者への特段の配慮に関する要請について」)。採用内定を守るために、最大限の経営努力を行う等あらゆる手段を講じることや、やむを得ない事情により内定取消や、入職時期の延期を行う場合は、対象者の就職先の確保について最大限の努力を行うとともに、対象者からの補償等の要求には誠意を持って対応することとされています。
 内定を取消すと連絡してきた会社には、こうした政府の通知も示し、誠意のある対応を求めていきましょう。